海外からの介護人材受入れで思うこと

政府がベトナム政府と介護人材受け入れ拡大で合意した(7月25日日経新聞朝刊)。個人的に知っているベトナムの方々は正直で勤勉で、戦後復興を遂げた頃の日本人はこんな感じだったのだろうか、と連想させられる。制度や仕組みはすべからくオープンなシステムを志向すべきだ、と考えている私に異論はない、と言いたいところだが。

その前に解消すべきこととして「介護の世界で求人難を引き起こしてきた処遇を改善すべきだ」と切に願う。介護職の仕事の重要さは論を待たないところだが、その条件、特に給与水準が仕事の内容に対し低いと感じる。実行する業務を粛々とこなすだけでなく、プラスアルファで気持ちも動かす仕事(保育士や教員や、販売員などなど)は、その部分を評価して(給与水準を)上げるべきだと思う。近年の保育士不足の問題が発端となって、その処遇が改善したのは喜ばしいことだが、未だ十分とは言えないし、介護は深刻な状況にある。

労働人口が減少する中、仕事の内容と条件が相応しない業界職種に人材難のしわ寄せがいってしまい、そこに外国からの労働力を補てんする、と言うのでは職業毎に存在する処遇の格差を結果的に温存させることにつながるのではないか?人材難に充当されるべく外国から来日する人達にとっても、就業を通じ(次世代につながる)夢や将来ビジョンに近づいていく、ということが重要だ。来日するという大きな決断が具体的な明るさと展望を持つ必要がある。

ゆえに、経済的な事情で離職率が高く、常に求人難に陥っている職種が固定化しないよう待遇改善が進むことを願う。そのためにも公的サービスに類する仕事で、個々の企業体の努力を超えるものを明確化し、メリハリある公的資金の投入が不可欠だと思う。

併せ、各企業では雇用を取り巻く社会システム自体の雇用流動性が高くなることへの対応と正規・非正規社員の間に存する壁を壊すことを通じて、「組織の安定=求心力の確保」と「企業活力を増すこと」このバランスを修正する好機と言えよう。